2023年7月4日の大学礼拝動画の配信
Date:2023.07.04
2023年度前学期第12回大学礼拝
【大学礼拝動画の配信】
2023年7月4日の大学礼拝動画の配信をします。
視聴にさいしては、以下のリンク(
https://drive.google.com/file/d/1iSzYmq_JELJh5sf54Sd0LZREcphRslj3/view?usp=sharing
【本日の聖書】
ヨハネによる福音書3章7−8節
【新共同訳聖書】
7『あなたがたは新たに生まれねばならない』とあなたに言ったことに、驚いてはならない。 8風は思いのままに吹く。あなたはその音を聞いても、それがどこから来て、どこへ行くかを知らない。霊から生まれた者も皆そのとおりである。」
【本日の奨励】
「風は思いのままに吹く――導かれるままに」
小林昭博(宗教主任)
本日の聖書は「霊」と「風」を同一語で表す古代語の特質を示すイエスのウィットに富んだ言葉が記されています。7節は3節において新たに生まれ変わるように勧めるイエスの比喩的な言葉の真意を説明する前に、聴く者たちに心備えをするよう促しています。「驚く」の原語はθαυμάζω(タウマゾー)であり、奇跡を目の当たりにした人たちが「驚く」ときに使用されることが多いのですが、ここでは真に「驚く」べきは「徴」(奇跡)を見たときではなく、真理に触れたときであるというヨハネ福音書の「秘儀」(μυστήριονミューステーリオン/英語mysteryの語源)が隠されています。8節は「霊」と「風」を同一語で示す古代語の理解を前提とする内容が記されています。8節前半の「風」はギリシャ語のπνεῦμα(プネウマ)ですが、ヘブライ語のרוּחַ(ルーアハ)に相当します。そして。8節後半の「霊」もギリシャ語のπνεῦμα(プネウマ)であり、ヘブライ語のרוּחַ(ルーアハ)に該当します。これはべブライ語やアラビア語などの基にあるセム語(古代中近東語)や西洋語の基にある印欧語(インド・ヨーロッパ語)といった古代語において「風・息・霊」が同一語で表されることを背景とします。それと同様に、みなさんもご存知の英語のspiritの語源である印欧語に属するラテン語のspiritusもまた「風・息・霊」という意味を持っています(英語inspire<ラテン語inspiro)。「風・息・霊」は現代人からすると別の概念ですが、古代人は目に見えない空気の動きを同じ語で総称したのです。木の葉を揺らす目に見えない空気の動き(風)、人間が絶えず行う目に見えない空気の動き(息・呼吸)、アニミズム的な目に見えない不思議な現象(霊)は、全て同じものが引き起こすと考えていたのです。風が木の葉を揺らすことは霊の仕業でもあったというのです。また、人間が息をしなくなると、それは霊が人間の外に出ていったために、その人は「生命の息」(創世2:7)を失って亡くなったと考えたのです。ですから、8節の「風」と「霊」は同じπνεῦμα(プネウマ)という語であるにもかかわらず、現代語では「風」と「霊」を同一語で表せないために、別のものを比較しているように感じてしまうのです。したがって、現象としての風(プネウマ)がどこから来て、どこへ行くのか分からないように、霊(プネウマ)を本質とする人間も同様だというのです。わたし自身も自分が牧師になり、新約聖書学の研究者になって、北海道にある酪農学園大学でキリスト教学を講じ、さらには宗教主任をするなどとは夢にも思ってはいませんでしたが、ある意味ではプネウマに導かれるままに今に至っており、この先の人生がどう進むのかもプネウマに委ねるほかないような気持ちでいます。みなさんの人生もプネウマに導かれるように、酪農学園大学に導かれ、これからどこへ進んでいくのか、導かれる不思議な人生を楽しんでください。
礼拝動画の視聴にさいしては、以下のリンク(
https://drive.google.com/file/d/1iSzYmq_JELJh5sf54Sd0LZREcphRslj3/view?usp=sharing