2024年度後学期第10回(2024年11月26日)大学礼拝動画の配信
Date:2024.11.26
2024年度後学期第10回大学礼拝
【大学礼拝動画の配信】
2024年11月26日の大学礼拝動画の配信をします。
視聴にさいしては、以下のリンク(
https://drive.google.com/file/d/1EzMJzfPaRzwldJsMfFPvAy5kOgmxNNqn/view?usp=sharing
【本日の聖書】
ヨハネによる福音書5章19−20節a
【新共同訳聖書】
19そこで、イエスは彼らに言われた。「はっきり言っておく。子は、父のなさることを見なければ、自分からは何事もできない。父がなさることはなんでも、子もそのとおりにする。 20a父は子を愛して、御自分のなさることをすべて子に示されるからである。
【本日の奨励】
「親と子/子と親――聖書と心理学」
小林昭博(宗教主任)
本日の聖書はベトザタの池の奇跡物語に付随するイエスの説教の冒頭部分です。ヨハネ福音書は――マタイ、マルコ、ルカの共観福音書とは異なり――奇跡の後にイエスの長い説教を置くことが多いのですが、この部分にヨハネ福音書が伝えんとする核となる内容があります。そのことは19節のイエスの説教が――新共同訳では「はっきり言っておく」と訳されていますが――「アーメン、アーメン、わたしはあなたたちに言う」というイエスの説教を導入する宣言定式によって開始されていることからも分かります。19節は前回お読みした16−18節においてイエスが神を「わたしの父」と呼んだことを批判するユダヤの権力者に対するイエスの反論です。ここでイエスは自分が神と父子関係にあることを前提に据え、自らの働きは神の働きに倣ったものであることを強調しています。むろん、このような認識はユダヤ教では瀆神行為であり、ユダヤの権力者は怒髪天を衝くといった反応を見せています。しかし、20節おいてイエスは自らと神との関係が父子関係にあることをいっそう強く主張することで、自分の働きは父が息子を愛する愛に基づくものであり、父が子に全てを示してくれたゆえに、自らの働きは神の働きと等しいものであると語っているのです。
本日の聖書は親子関係を父と息子の関係に準えていますが、これは古代世界の家父長制における相続関係を前提とする論理ですので、ここでは現代の親子関係に比定して考えますが、それは親子、肉親、血縁に限定されるものではなく、育てた人(保護者)と子ども(被保護者)の関係でもあります。この聖書の言葉を読むと、「子は親の鏡」と「親は子の鑑」という諺が想起されます。このふたつの諺は「かがみ」の部分の漢字が異なり、「鏡」は「映すもの」、「鑑」は「手本とするもの」を表しますので、その意味も異なります。つまり、子どもは親を見て育ち、親は子どもの手本となることを表しています。それと同様に、ヨハネ5:19−20aの神とイエスの父子関係も、子どもは親のすることを行い、親は子どもを愛し、生きる意味や生き方を示すという親と子の関係を表しています。親が子どもを見て嫌だと感じるのは、嫌いな自分を子どものなかに見ているからであり、子どもが親を見て嫌だと思うのも、嫌な部分が似ていることを心の奥で感じているからです。これは「人の振り見て我が振り直す」という諺にも共通します。人間はほかの動物に比べて、自立がとても遅く、親に依存しなくては生きていけない期間がきわめて長いため、親の影響を著しく被ります。しかし、それは決して宿命などではなく、多様な人たちと出会い、愛される経験を通して、自分を育て続けていくことが可能であり、そして自分も愛することで、その愛を誰かに伝えていくことができるのです。
礼拝動画の視聴にさいしては、以下のリンク(
https://drive.google.com/file/d/1EzMJzfPaRzwldJsMfFPvAy5kOgmxNNqn/view?usp=sharing