2024年度前学期第6回(2024年5月21日)大学礼拝動画の配信
Date:2024.05.21
2024年度前学期第6回大学礼拝
【大学礼拝動画の配信】
2024年5月21日の大学礼拝動画の配信をします。
視聴にさいしては、以下のリンク(
https://drive.google.com/file/d/1b-gfRDNfi5I75wbT-W8rl9wHipe6QfGE/view?usp=sharing
【新緑の美しい黒澤記念講堂】
【本日の聖書】
ヨハネによる福音書4章25−26節
【新共同訳聖書】
25女が言った。「わたしは、キリストと呼ばれるメシアが来られることは知っています。その方が来られるとき、わたしたちに一切のことを知らせてくださいます。」 26イエスは言われた。「それは、あなたと話をしているこのわたしである。」
【本日の奨励】
「イエスと出会う――自己と世界の新しい了解」
小林昭博(宗教主任)
本日の聖書はサマリアの女性が真にイエスと出会う場面が記されています。25節はサマリアの女性がユダヤ教のメシア信仰に触れています。ユダヤ教のメシア信仰は紀元前6世紀のバビロン捕囚以降に発生した終末論に基づくものですので、それ以前にユダヤ教と袂を分かったサマリア教には基本的にはメシア信仰はありません。したがって、サマリアの女性がメシア信仰に言及することを通じて、ヨハネ福音書はユダヤとサマリアの間の近親憎悪に基づく敵対関係が終わりを迎えたことを告げているのです。この背後にはこの福音書を担ったヨハネ教会がサマリア地域でも活動し、自分たちの新たなメシア信仰(キリスト教)は、イエスが示したように、ユダヤとサマリアの間の隔ての中垣を取り除くものであるとの確信が横たわっています。26節はイエスがユダヤ教のメシア信仰を成就するメシアであるとの宣言です。この背後にはヨハネ教会がこの使信をこの世界に証しするために自分たちが存立しているとの自己理解があります。このような明確な自己認識(アイデンティティ)は、キリスト教をも含めた組織の強みであり、酪農学園大学も自らの創立の趣旨に基づく自己の存立の意味を確信して歩んでいるのかを繰り返し省察することが求められています。
本日の聖書テクストはサマリアの女性がイエスとの真の出会いを果たした物語ですが、イエスとサマリアの女性の物語は4章7節から始まり、ユダヤとサマリアの歴史的な近親憎悪、命の水に関する問答の描写が連ねられてきたことからも分かるように、イエスとサマリアの女性は人と人との出会いをすでに果たしているはずです。しかし、ヨハネ福音書はサマリアの女性がイエスをメシアと知って受け入れることを通して、真にこの女性がイエスと出会っているとの使信を伝えています。ここには人生を変える出会いがあります。教会ではそれを「回心」(conversion)と呼んでいるのですが、この経験は――聖書解釈の分野でも大きな貢献をしたフランスの哲学者ポール・リクールによれば――世界と自己の「新しい了解」(une nouvelle compréhension)と言い換えることができます。わたしたちの人生において、真に誰かや何かと出会うというのは、世界と自己が一新し、世界も自己も全く違ったものに感じられる経験を表すからです。それは人生の決定的な瞬間です。サマリアの女性や黒澤酉蔵先生がイエスと出会い、そしてそこで生起した出来事はまさにこのような経験なのです。酪農学園大学において、学生のみなさんにも「新しい了解」と呼ぶことのできる世界と自己が一新されて全てが新しく見える経験をして欲しいのです。
礼拝動画の視聴にさいしては、以下のリンク(
https://drive.google.com/file/d/1b-gfRDNfi5I75wbT-W8rl9wHipe6QfGE/view?usp=sharing