2024年度前学期第4回(2024年5月7日)大学礼拝動画の配信

Date:2024.05.07

2024年度前学期第4回大学礼拝

【大学礼拝動画の配信】

2024年5月7日の大学礼拝動画の配信をします。

視聴にさいしては、以下のリンク(Google Drive)をクリックしてください。

https://drive.google.com/file/d/1RbcB_Yk84Mxczz4F0tepeoLMMqtCFPUW/view?usp=sharing

 

【本日の聖書】

ヨハネによる福音書4章16−20節

【新共同訳聖書】

 16イエスが、「行って、あなたの夫をここに呼んで来なさい」と言われると、 17女は答えて、「わたしには夫はいません」と言った。イエスは言われた。「『夫はいません』とは、まさにそのとおりだ。 18あなたには五人の夫がいたが、今連れ添っているのは夫ではない。あなたは、ありのままを言ったわけだ。」 19女は言った。「主よ、あなたは預言者だとお見受けします。 20わたしどもの先祖はこの山で礼拝しましたが、あなたがたは、礼拝すべき場所はエルサレムにあると言っています。」

 【本日の奨励】
「エルサレム――翻弄される平和の都」
小林昭博(宗教主任)

 本日の聖書もイエスとサマリアの女性の対話の続きです。16節で唐突に物語はこの女性の身の上話に移行します。17−18節はイエスが千里眼的に相手の素性を知っていることを示す聖者伝説的な逸話です。そのことは19節でこの女性がイエスを「預言者」だと告白していることからも窺われます。この時代の女性は男性の所有物とされていましたので、妻が夫に先立たれた場合、男子の子どもが成人しているのであれば、その世話になることもできたのですが、それ以外のケースでは、他の男性の庇護下に入るほかありませんでした。1世紀のローマ市民社会では女性の社会進出も局所的には認められますが、サマリア人の社会はオリエント的な社会が形成されていましたので、次々に男性に先立たれた寡婦(やもめ)が置かれる厳しい現実がこの物語の背景をなしています。また、この逸話の背後にはイエスの母マリアが夫のヨセフを亡くし、父の代わりに母や弟妹を扶養していたイエスの経験があります。古代地中海世界において、イエスが現代で言うジェンダー格差や貧困に敏感であり、抑圧されている女性たちや子どもたちにとりわけ優しさを向けた所以がここにあります。そして、最後の20節は前10世紀のイスラエル統一王国の南北分裂以来、サマリア人が神の都エルサレムを離れ、再びサマリアのゲルジム山の神殿で礼拝するようになった歴史を想起しつつ、聖地エルサレムを偲ぶ気持ちが込められています。ここにはエルサレムをめぐる問題が現代のパレスティナ問題や中東問題の遥か過去の時代から大きな課題として立ちはだかってきたことが窺えます。エルサレムはユダヤ・キリスト・イスラームという一神教の聖地とされています。エルサレム(ヘブライ語יְרוּשָׁלַיִםイェルーシャーライム)は「平和の所有」や「平和の礎」を意味し、「平和の都」と呼ばれてきたのですが、その名前とは裏腹に、70年のローマによる破壊、132年のローマによるアエリア・カピトリナへの改名、4世紀のキリスト教のローマ国教化による聖地認定、7世紀のイスラーム化、11世紀末以降の十字軍の侵略、19世紀後半からのシオニズム運動、そして1948年のイスラエルの一方的な建国宣言を嚆矢とし、ガザの侵略によって世界中に周知された現在まで続くイスラエルによるパレスティナの侵略の問題は、パレスティナ問題であると同時に、イスラエルが首都とするエルサレム問題でもあります。エルサレムの領有権をめぐる人間の醜い欲望によって翻弄されてきた平和の都エルサレムがその名の通り平和の礎になる日を望みます。

礼拝動画の視聴にさいしては、以下のリンク(Google Drive)をクリックしてください。

https://drive.google.com/file/d/1RbcB_Yk84Mxczz4F0tepeoLMMqtCFPUW/view?usp=sharing