2023年12月12日のアドヴェント第3週礼拝動画の配信
Date:2023.12.12
2023年度後学期第12回大学礼拝
アドベント第3週礼拝
【大学礼拝動画の配信】
2023年12月12日の大学礼拝動画の配信をします。
視聴にさいしては、以下のリンク(
https://drive.google.com/file/d/17_ETgp2Hf4uSfjG7zaqz11Qz4tsmYQxJ/view?usp=sharing
【本日の聖書】
ヨハネによる福音書3章34−36節
【新共同訳聖書】
34神がお遣わしになった方は、神の言葉を話される。神が“霊”を限りなくお与えになるからである。35御父は御子を愛して、その手にすべてをゆだねられた。36御子を信じる人は永遠の命を得ているが、御子に従わない者は、命にあずかることがないばかりか、神の怒りがその上にとどまる。
【本日の奨励】
「命に通じる道を選ぶ」
小林昭博(宗教主任)
古代世界は現代世界に比べて遥かに生命が大切にされていなかったと考えられます。より正確に言えば、古代世界には現代世界のような人権意識がなく、自由人男性は大切にされていましたが、奴隷、女性、子どもは人間ではなく、自由人男性の所有物とされていたゆえに(出エジプト20:17)、その生命が大切にされることも少なかったということです。例えば、マタイ2:16−18がクリスマスの逸話として伝えるユダヤの王ヘロデがメシアであるイエスの誕生によって自らの地位が脅かされることを恐れて、ベツレヘムとその周辺一帯の二歳以下の男の子を皆殺しにしたという物語が創作された背後にも、子どもがひとりの人間として価値があると見なされていなかった文化があったのです。
ヨハネ3:34−36は生命が大切にされていなかった古代世界において、あるいは生命が大切にされていなかった古代世界であったからこそ、生命の尊さに思いを馳せ、人々の生命が簡単に失われてしまっている現状を憂い、その失われてしまう生命の先にある希望として、「永遠の命」に言及しているのです。
しかしながら、ロシアとウクライナの戦争、イスラエルとガザの戦争が続いていることを考えると、古代世界よりも現代世界が人間の生命を大切にしているとは言えない状況があるようにも思えるのです。内側を守り、外側を攻撃することで、わたしたちの世界は成り立っています。本日の聖書もまた、信じる者には永遠の生命が与えられ、信じない者には神の怒りが下されると述べることで、内と外という二元論に身を委ねてしまっています。節分の豆まきの「鬼は外」と「福は内」という考えもそれと同様かもしれませんので、キリスト教に限らない普遍的な問題であると言っていいのかもしれません。
古代世界と現代世界には決定的違いもありますが、それほど違っていないのは、人間理解の根本に関わる問題です。例えば、古代の奴隷制は実際には異民族や外国人を戦争時の捕虜として捕らえて来たり、外国人を誘拐や略奪をして来たりすることによって成り立っていたのですが、これは他民族や外国の人たちであれば、憎悪して呪い、その生命も人権も蹂躙しても構わないとする現代世界にも通底する問題であり、古代世界よりも現代世界が素晴らしいとは単純には言えないように思えるのです。古代世界において、最も根源的に命の尊さを説いたのがイエスであることは疑い得ません。そのイエスに倣い、戦争を当たり前とし、人が人の命を奪うことに慣れっこになってしまう現代世界において、命を閉ざす道ではなく、「命に通じる道を選ぶ」者として歩みたいのです。
礼拝動画の視聴にさいしては、以下のリンク(
https://drive.google.com/file/d/17_ETgp2Hf4uSfjG7zaqz11Qz4tsmYQxJ/view?usp=sharing