2023年11月7日の大学礼拝動画の配信

Date:2023.11.07

2023年度後学期第7回大学礼拝

【大学礼拝動画の配信】

2023年11月7日の大学礼拝動画の配信をします。

視聴にさいしては、以下のリンク(Google Drive)をクリックしてください。

https://drive.google.com/file/d/1ZYFRIZNU7k7xhueZbhywchBzq6yr41j4/view?usp=sharing

 

【本日の聖書】

ヨハネによる福音書3章22−23節

【新共同訳聖書】  

 22その後、イエスは弟子たちとユダヤ地方に行って、そこに一緒に滞在し、洗礼を授けておられた。23他方、ヨハネは、サリムの近くのアイノンで洗礼を授けていた。そこは水が豊かであったからである。人々は来て、洗礼を受けていた。

【本日の奨励】

「洗礼(バプティスマ)――起源と意味」
小林昭博(宗教主任)

 本日の聖書はイエスが洗礼を授けていたことが記されています。22節はイエスがユダヤ地方で洗礼を授けていたと報告していますが、共観福音書には知られていない内容です。共観福音書ではイエスは故郷のガリラヤ地方(イスラエル北部)で活動をしており、ユダヤ地方(イスラエル南部)には生涯の最後に向かいます。また、共観福音書ではイエスは洗礼者ヨハネから洗礼を受けますが、イエスが洗礼を授けたという記述は存在しないのです。しかも、ヨハネ4:2には洗礼を授けていたのがイエスではなく、イエスの弟子だったと書かれています。これは初期キリスト教が洗礼を入会儀礼にし始めていた事情を反映しています。23節は洗礼者ヨハネがサリム(正確にはサレイム)に近いアイノンで洗礼を授けていたことが記されていますが、アイノンは死海から北に向かうヨルダン川沿いの地です。豊富な水の記述はこの地が洗礼に適していることを伝えています。このようにイエスの洗礼と洗礼者ヨハネの洗礼の双方をヨハネ福音書が記しているのは、両教団が洗礼を行う宗派として競合していたからです。洗礼者ヨハネはクムラン文書との関係が想定される古代ユダヤ教の四大宗派のひとつであるエッセネ派に属し、エッセネ派の選民意識を拒否し、全ての人に罪の赦しのための洗礼を授ける活動を始めました。イエスはその活動を支持してヨハネの弟子となったようですが、荒野にこもって人が来るのを待つヨハネのスタイルではなく、自分から巷間の民衆のもとで福音を伝える活動を行うようになり、双方が付かず離れずの関係を保ち、それが紀元1世紀末のヨハネ福音書の時代まで続いていたものと考えられます。
  「洗礼」(バブティスマ)とは元々「沐浴」の意味ですが、エッセネ派は日々の清めの儀式として行い、洗礼者ヨハネによって罪の赦しの儀式となり、キリスト教がヘレニズム世界に進出する過程で入会儀礼(イニシエーション)の意味合いとなり、キリスト教徒になるための儀式(礼典)に発展しました。洗礼は全身を水に沈め、水に象徴される死の世界からの復活(新生)を象徴していますので、「浸礼」(全身を水に沈める方法)として行われていましたが、浸礼を実施するのは大変なことから、早期に「滴礼」(頭に水を三度滴らせる方法)が導入され、それが多数派となりました。東方教会とカトリックでは「幼児洗礼」も多いのですが、プロテスタントでは本人の自覚的信仰が重視されるため、幼児洗礼には消極的です。
もっとも、洗礼の意味を言葉を弄して説明するよりも、多くの教会で洗礼が行われるクリスマス礼拝に行って、洗礼式に臨席してみることで、その時間と空間を実際に経験してみることが、実学重視の本学には適していると言えるのかもしれません。

 

礼拝動画の視聴にさいしては、以下のリンク(Google Drive)をクリックしてください。

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