2023年10月24日の大学礼拝動画の配信

Date:2023.10.24

2023年度後学期第5回大学礼拝

【大学礼拝動画の配信】

2023年10月24日の大学礼拝動画の配信をします。

視聴にさいしては、以下のリンク(Google Drive)をクリックしてください。

https://drive.google.com/file/d/1UsjlYmLghP-aB6Es9UxZr-S0izdJzFtP/view?usp=sharing

 

【本日の聖書】

ヨハネによる福音書3章20−21節

【新共同訳聖書】  

 20悪を行う者は皆、光を憎み、その行いが明るみに出されるのを恐れて、光の方に来ないからである。21しかし、真理を行う者は光の方に来る。その行いが神に導かれてなされたということが、明らかになるために。」

【本日の奨励】

「光のもとで――ディスクロージャー」
小林昭博(宗教主任)

 本日の聖書は光と闇の対立という古代ユダヤ・キリスト教の主題を扱っています。20節は終末論の中心を占める善悪二元論に基づき、「善=光」と「悪=闇」から成る世界観が表明されています。悪行を働く者が光を憎むのは、隠されている悪行が光のもとで明らかにされてしまうからです。これは古代世界の神話を語っているようでありながら、現代世界にも当てはまります。政治、国家賠償の裁判、ロシアとウクライナやイスラエルとパレスティナといった国家間の対立・戦争・諜報といった権力の闇だけではなく、いじめやハラスメント、粉飾、裏金、賄賂などを隠す組織の闇にも該当します。この世界に渦巻く闇は、その大小にかかわらず、後ろ暗さのゆえに、それが明るみに出ないよう隠し通そうとする思惑が蠢いています。21節は真理が明らかになるのは自明の理であると語っていますが、ギリシャ語の「真理」(ἀλήθεια[アレーテイア])は隠されているものが明らかになるというのが原意です。ギリシャ哲学では、イデアの世界に隠されていたものがこの世界に明らかになることを真理と呼びます。隠されていた宝物が発見されるといったニュアンスです。それに対して、ヨハネ福音書は「真理」を明らかにするのは神であると表白します。ギリシャ哲学とヨハネ福音書の双方で共通するのは、真理は隠されたままでいることができない、真理はやがて明らかになるという考えです。ここに欧米社会が「知る権利」に基づく「ディスクロージャー」(情報開示/情報公開)に積極的である理由を見出すことが可能です。いつか真実は明らかにされる、したがって人間はいつまでも真実を隠してはいられないのです。機密情報も例外ではないというわけです。もっとも、スノーデン事件が象徴する諜報という闇に隠されている「不都合な真実」があることも確かですが、この背後にも光と闇の対立や全てが光のもとで明らかにされるという考えがあります。それに対して、日本は水に流す文化、秘密は墓まで持っていく文化ですので、「不都合な真実」を公開しないことが正当化されがちですが、日本にもお天道様が見ているという東アジアの宗教思想や勧善懲悪がありますので、ディスクロージャーは不可能ではありません。学術会議の任命拒否の問題に象徴されるように、現在の大学は真理探求に仕える使命に生きるのが困難な状況に置かれていますが、大学には教育と研究を通じた重要な社会貢献が求められていると同時に、――特にキリスト教主義大学はヨハネ福音書に促されつつ――自らの組織をも含めた社会や世界の問題や不条理を光のもとで明らかにする枢要な責務があるのです。

 

礼拝動画の視聴にさいしては、以下のリンク(Google Drive)をクリックしてください。

https://drive.google.com/file/d/1UsjlYmLghP-aB6Es9UxZr-S0izdJzFtP/view?usp=sharing