2023年度春期キリスト教教育強調週間の報告(今回は動画配信はありません)

Date:2023.05.23

2023年度春期キリスト教教育強調週間

日時:2023年5月23日(火)10時40分

場所:黒澤記念講堂

【本日の聖書】

ガラテヤの信徒への手紙3章26−29節

【新共同訳聖書】  

 26あなたがたは皆、信仰により、キリスト・イエスに結ばれて神の子なのです。27洗礼を受けてキリストに結ばれたあなたがたは皆、キリストを着ているからです。28そこではもはや、ユダヤ人もギリシア人もなく、奴隷も自由な身分の者もなく、男も女もありません。あなたがたは皆、キリスト・イエスにおいて一つだからです。29あなたがたは、もしキリストのものだとするなら、とりもなおさず、アブラハムの子孫であり、約束による相続人です。

 

【本日の奨励】

「平和の霊を獲得する」
エフレム後藤悠太(日本ハリストス正教会札幌ハリストス正教会司祭)

 「正教会」という言葉そのものが皆さんにとって馴染みの薄いものなのではないかと思います。人となった神であるイエス・キリストは自ら十字架にかかり死なれ、そして3日目に復活しました。キリストの弟子たちはこの復活を目撃し、本当にイエスが復活したことを信じ、そして自分達自身がこの「よみがえりのいのち」を生き始めました。古い自分は死に、新たな「いのち」を生き始めたのです。正教会とは何なのかと問われれば、正教会とはまず、この輝かしい「いのち」そのものです。聖書も、教義も、複雑な礼拝や祈祷文も、イコン(聖像)もこの「いのち」の現れであり、輝かしい喜びの溢れに他なりません。私たち正教徒は教会において「よみがえりのいのち」を体験します。

【2023年度春期キリスト教教育強調週間の報告】

 春期キリスト教教育強調週間の礼拝では、講師のエフレム後藤悠太先生(日本ハリストス正教会札幌ハリストス正教会司祭)にガラテヤ書3章26−28節から「平和の霊を獲得する」との主題で奨励をしていただきました。先生は正教会が重んじる「伝統」が決して形骸化されてしまうものではなく、今も新たな意味を失っていないことを強調されていました。この点は本学の建学の精神にも通じることだと実感します。また、「イコン」(聖像)が大切な誰かの写真を肌身離さず持っていることに通じるという説明はポップなものであり、ストンと腑に落ちました。現在のロシアのウクライナ侵攻に関しては、日本ハリストス正教会が平和を願う声明を出していることの延長線上に、平和を求める熱い気持ちを率直に語ってくださいました。特に、ロシアを単に批判するだけではなく、自分のなかにある平和に反する部分を省察し、さらにロシアとウクライナの対立が象徴するように、正教会が国や民族単位に分立している現状に対して、ガラテヤ書3章28節の「ユダヤ人もギリシア人もなく」というパウロの言葉を引用し、札幌ハリストス正教会にロシアとウクライの人たちが集っている現実をも踏まえつつ、正教会がその地域の全ての人たちの一致と平和を求めるという本来の姿に立ち帰ることの大切さを強調しておられました。このお話を伺いながら、西側のキリスト教諸国やそれに追随する日本もまた、これまで自分たちが引き起こしてきた侵略と戦争を真に省察(懺悔)するよう求められていることに気づかされる貴重な機会を与えられました。