2021年7月13日大学礼拝(リモート礼拝)のお知らせ

Date:2021.07.07

2021年度前学期第13回

大学礼拝(リモート礼拝)

礼拝動画の配信

 

聖書とメッセージの動画の視聴にさいしては、以下のリンク(Google Drive)をクリックしてください。

https://drive.google.com/file/d/14G1FzVLHKakGmSWqMidxGSE9CwGBH9aA/view?usp=sharing

 

聖書 フィリピの信徒への手紙1章12−14節

奨励 「大胆に恐れずに語る――言論の自由の源」小林昭博先生(宗教主任)

 

【本日の聖書】

フィリピの信徒への手紙1章12−14節

【新共同訳聖書】

12兄弟たち、わたしの身に起こったことが、かえって福音の前進に役立ったと知ってほしい。13つまり、わたしが監禁されているのはキリストのためであると、兵営全体、その他のすべての人々に知れ渡り、14主に結ばれた兄弟たちの中で多くの者が、わたしの捕らわれているのを見て確信を得、恐れることなくますます勇敢に、御言葉を語るようになったのです。

 

【本日の奨励】

「大胆に恐れずに語る――言論の自由の源」

本日の聖書はローマでの拘禁生活でも変わることなく福音を伝えるという使命を全うするパウロの姿を目の当たりにしたローマの教会の人たちが、大胆に恐れずに福音を伝えるようになったことが語られています。
12節で「身に起こったこと」と語られているのは、パウロの拘禁生活を表します。フィリピの教会の人たちはパウロが囚われの身になっていることを心配し、それと同時に福音宣教が滞ってしまうことを危惧していたゆえに、マイナスでしかないはずの拘禁生活においても、却ってそれが福音の前進につながっていることを知って欲しいと述べることで、パウロはフィリピの教会の人たちを安心させようしています。13節はパウロの拘禁がキリストを宣べ伝えたゆえに生じたものであるということが兵営やローマ市民にも知れ渡るようになったと伝えています。新共同訳聖書が「兵営」と訳しているπραιτώριον(プライトーリオン)は、ラテン語のpraetoriumがギリシャ語に持ち込まれた外来語です。この語はローマの「総督の官邸」や「執政官の官邸」を表しますが、ここではローマ皇帝の直属の部隊である近衛軍団(親衛隊)の建物の意です。このように理解すれば、パウロがローマにおいて皇帝の裁判を待っている間に、近衛軍団さえもが、なぜパウロが囚われの身になっているのかを知るようになり、さらにその情報がローマ市民にも拡散することによって、福音がローマにも宣べ伝えられている状況が想定されます。14節はパウロの拘禁状態を目の当たりにしたローマの教会の人たちが、パウロのように投獄されることを危惧して黙ってしまうのではなく、近衛軍団やローマ市民にパウロの拘禁状態の意味が知れ渡ることで、福音が宣べ伝えられていることに確信を持つようになり、神の言葉(福音)を「大胆に恐れずに語る」ようになったと伝えています。
パウロはキリストを宣べ伝え、福音を宣教した廉で幾度となく捕らえられ、最終的にはローマでの拘禁生活を経て処刑されました。キリスト教を伝えただけで処刑されるとは俄には信じられないかもしれませんが、キリスト教はイエスが十字架刑というローマ国家反逆罪で処刑された新興宗教であり、ローマから危険視されていた禁教だったのです。しかし、パウロは拘禁生活によっても諦めることなく自らの信仰を貫き、「大胆に恐れずに語る」パウロの堂々とした姿に近衛軍団やローマ市民も心打たれ、パウロに対する態度も変わっていったのではないでしょうか。そして、このような変わることのないパウロの姿によって、ローマの教会の人たちも「大胆に恐れずに語る」ことができるように変えられていったのです。
現代社会でも忖度やSNSなどで言論の自由が脅かされています。パウロが「大胆に恐れずに語る」姿は西洋世界の「言論の自由の源」であり、大学もまた「言論の自由の源」として歩んできました。その意味では、キリスト教主義大学である酪農学園大学に連なるわたしたちこそが、自らの信じることを「大胆に恐れずに語る」者として、自らの身をもって次世代に自由にものを語ることができる社会の大切さを伝える責務があります。

 

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