2021年6月22日大学礼拝(リモート礼拝)のお知らせ
Date:2021.06.18
2021年度前学期第10回
大学礼拝(リモート礼拝)
礼拝動画の配信
聖書とメッセージの動画の視聴にさいしては、以下のリンク(
https://drive.google.com/file/d/1eoTls5JgyU_1V_3qET5KQPjP1DWsUnZC/view?usp=sharing
聖書 フィリピの信徒への手紙1章3−6節
奨励 「大切な思い出」小林昭博先生(宗教主任)
【本日の聖書】
フィリピの信徒への手紙1章3−6節
【新共同訳聖書】
3わたしは、あなたがたのことを思い起こす度に、わたしの神に感謝し、4あなたがた一同のために祈る度に、いつも喜びをもって祈っています。5それは、あなたがたが最初の日から今日まで、福音にあずかっているからです。6あなたがたの中で善い業を始められた方が、キリスト・イエスの日までに、その業を成し遂げてくださると、わたしは確信しています。
【本日の奨励】
「大切な思い出」
本日の聖書はフィリピの教会の人たちを大切にするパウロの思いが率直に表されています。3節はフィリピの人たちとのこれまでの全ての思い出がパウロに感謝の気持ちを溢れさせるほどに素晴らしいものであることが記されています。ここからローマでの軟禁生活を強いられていたパウロがフィリピの人たちの存在を支えにしていたことが窺えます。4節はフィリピの人たちを覚えて祈るときに、パウロが溢れるような喜びに包まれていることを実感する様子を伝えています。この背後には軟禁状態にあるパウロをフィリピの人たちが経済的・精神的に支えていたという実際的な事情があります(フィリピ2:25−30、4:10−19参照)。5節はパウロがフィリピに宣教した「最初の日から今日まで」の間、フィリピの人たちが変わることなく最初に受けた教えを守り続けていることがパウロの喜びにほかならないことを記しています。この言葉に触れるとき、黒澤酉蔵初代学園長が酪農学園を創立した「最初の日から今日まで」の間、酪農学園が建学の精神を変わることなく守り続けているかどうかを絶えず確かめていくことの大切さを改めて実感します。6節は過去から現在まで福音を守り続けてきたフィリピの人たちが、「キリスト・イエスの日まで」=「終末の最後の審判のときまで」、すなわち未来に至るまで変わらずに福音を守り続けて欲しいとのパウロの思いが記されています。この言葉を聞くとき、酪農学園が「神を愛し、人を愛し、土を愛す」三愛主義を未来においても変わることなく守り続けていくことの大切さを改めて実感します。
今一通り本日の聖書の言葉を追ってみましたが、今日は3節に着目して、奨励題に示したように「大切な思い出」について考えてみたいと思います。新共同訳聖書は3節のμνεία(ムネイア)を「思い起こす」と動名詞的に訳しているのですが、μνείαは「思い出」を意味する名詞であり、3節は正確には「わたしはあなたたちのあらゆる思い出についてわたしの神に感謝しています」となります。つまり、3節はパウロがフィリピの人たちのことを思い出したときにたまたま神に感謝していると言っているのではなく、フィリピの人たちとのこれまでの全ての「思い出」が自らの生きる糧になっているゆえに、神に感謝していると言っているのです。ですから、3節からパウロが「思い出」が持つ特別な力を経験していたことが窺われます。
確かに、わたしたちも写真や日記、同窓会での旧友との昔話といった「思い出」から力を貰い、えも言われぬ熱い思いが湧き上がる経験をしています。このような経験は「思い出」が過去の出来事であると同時に、現在的な出来事として再現するものであることを示しており、ここに過去から現在へと時空を超えて立ち現れてくる「思い出」が持つ特別な力があるのではないでしょうか。そして、酪農学園の「思い出」は聖書とキリスト教の精神に基づいて、酪農・農業の担い手を育成しようとして創立者が掲げた夢とその夢を実現するために尽力してきた人たちの歩みにほかなりません。わたしたちも酪農学園の「大切な思い出」を共有し、その「思い出」を現在的な出来事として再現させる担い手として歩んでいきましょう。
聖書とメッセージの動画の視聴にさいしては、以下のリンク(