2021年5月25日大学礼拝(リモート礼拝)のお知らせ

Date:2021.05.19

2021年度前学期第6回

大学礼拝(リモート礼拝)

礼拝動画の配信

 

聖書とメッセージの動画の視聴にさいしては、以下のリンク(Google Drive)をクリックしてください。

https://drive.google.com/file/d/1bb0Sxpu-KUusRIkn8a2tFjoaI-VEw2WM/view?usp=sharing

 

聖書 ヤコブの手紙5章12節

奨励 「然りは然り、否は否――忖度文化に抗して」小林昭博先生(宗教主任)

 

【本日の聖書】

ヤコブの手紙5章12節

【新共同訳聖書】

12わたしの兄弟たち、何よりもまず、誓いを立ててはなりません。天や地を指して、あるいは、そのほかどんな誓い方によってであろうと。裁きを受けないようにするために、あなたがたは「然り」は「然り」とし、「否」は「否」としなさい。

 

【本日の奨励】「諦めない心」

本日の聖書テクストはイエスの言葉として知られる「然りは然り、否は否」(マタイ福音書5章33−37節)と同じ伝承に遡る内容が語られています。ここでは誓いを立てることそのものが明確に禁じられています。宗教と誓いは切っても切れない関係かもしれませんが、少なくともイエスとその影響を受けているヤコブ書は誓いを立てることを一切合切禁じています。

とは言っても、キリスト教でも誓いを立てているではないかと思われるかもしれません。教会に行ったことのない方でも、ホテルのチャペルでのキリスト教式の結婚式に参列したことのある方は多いでしょうし、テレビなどの結婚式の場面でも、牧師や神父に扮した人が新郎や新婦に「誓いますか?」と問い、「誓います!」と答えるというのが定番になっています。しかし、厳密には教会の結婚式では「誓いを立ててはならない」という聖書の言葉を遵守して、結婚式では「約束しますか?」と問い、「約束します!」と答えるのが正式なものです。新婦や新郎から「《誓います》ではないのですか?」と尋ねられることもあるのですが、「《約束します》が本当です!」と説明するということも珍しくはありません。
12節前半は誓いそのものを全面的に禁じています。ユダヤ教にも軽々しく誓いを立てることを禁じる言葉は散見されるのですが(レビ記5章20−26節、シラ書23:9−11)、ヤコブ書は天や地に賭ける誓いだけではなく、あらゆる誓いを禁じることによって、誓うという行為そのものを止揚しています。12節後半は「然りは然り、否は否」とするように勧めています。これは自分が「然り」(正しい)と思うことはその通りに実行し、自分が「否」(間違っている)と思うことは実行しないようにとの促しであり、自らの良心に基づく言行一致した責任ある生き方の大切さを教えています。
最近の日本社会では忖度や同調圧力といった言葉が屡々聞かれます。これは上意下達や長い物には巻かれるという従来の生き方を指してもいます。もっとも、上意下達、長い物には巻かれる、忖度、同調圧力が跋扈するこの社会にあって、「然りは然り、否は否」を貫くことは並大抵のことではありません。しかし、忖度文化に与して「然りは否、否は然り」としていては、未来を創造する新たな研究など生まれようはずもありません。相互性と対等性が重んじられ、ひとりひとりが大切にされ、「然りは然り、否は否」と自由に発言し生きることのできる社会の実現を夢見ています。

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