2020年11月17日大学礼拝(リモート礼拝)のお知らせ

Date:2020.11.11

2020年度後学期第8回

大学礼拝(リモート礼拝)

聖書の言葉とメッセージの動画の配信

 

聖書とメッセージの動画の視聴にさいしては、以下のリンク(Google Drive)をクリックしてください。

https://drive.google.com/file/d/10mXpAZOlsSpgmJW_GWU3jHhYs-I5xh9z/view?usp=sharing

 

聖書 ヤコブの手紙2章1−13節

奨励 「分け隔てしてはならない――貧者と富者」小林昭博(宗教主任)

 

【本日の聖書】ヤコブの手紙2章1−13節

1わたしの兄弟たち、栄光に満ちた、わたしたちの主イエス・キリストを信じながら、人を分け隔てしてはなりません。2あなたがたの集まりに、金の指輪をはめた立派な身なりの人が入って来、また、汚らしい服装の貧しい人も入って来るとします。3その立派な身なりの人に特別に目を留めて、「あなたは、こちらの席にお掛けください」と言い、貧しい人には、「あなたは、そこに立っているか、わたしの足もとに座るかしていなさい」と言うなら、4あなたがたは、自分たちの中で差別をし、誤った考えに基づいて判断を下したことになるのではありませんか。5わたしの愛する兄弟たち、よく聞きなさい。神は世の貧しい人たちをあえて選んで、信仰に富ませ、御自身を愛する者に約束された国を、受け継ぐ者となさったではありませんか。6だが、あなたがたは、貧しい人を辱めた。富んでいる者たちこそ、あなたがたをひどい目に遭わせ、裁判所へ引っ張って行くではありませんか。7また彼らこそ、あなたがたに与えられたあの尊い名を、冒涜しているではないですか。8もしあなたがたが、聖書に従って、「隣人を自分のように愛しなさい」という最も尊い律法を実行しているのなら、それは結構なことです。9しかし、人を分け隔てするなら、あなたがたは罪を犯すことになり、律法によって違犯者と断定されます。10律法全体を守ったとしても、一つの点でおちどがあるなら、すべての点について有罪となるからです。11「姦淫するな」と言われた方は、「殺すな」とも言われました。そこで、たとえ姦淫はしなくても、人殺しをすれば、あなたは律法の違犯者になるのです。12自由をもたらす律法によっていずれは裁かれる者として、語り、またふるまいなさい。13人に憐れみをかけない者には、憐れみのない裁きが下されます。憐れみは裁きに打ち勝つのです。

 

【本日の奨励】「分け隔てしてはならない――貧者と富者」

今日の聖書テクストでヤコブ書は富める者が優遇され、貧しい者が虐げられる事態に異を唱えています。このような内容を敢えて書かなくてはならなかったのは、初期の教会において貧富の差によって人を偏り観る差別的対応が横行していたからにほかなりません。というのは、教会には当初は現在のように教会堂(建物)があったわけではなく、会員の家を集会のために用いる家の教会と呼ばれる形態で集会が運営されており、その場を提供できるのは富裕な者が多かったことから、教会がサロン化し、集会を主催するパトロンがローマ世界の社会層を教会組織に持ち込むことで、富裕な者が優遇され、貧しい者が肩身の狭い思いをしていたからです。
新共同訳が「分け隔てする」と訳している2節のπροσωπολημψία(プロソーポレームプシア)と9節のπροσωπολημπτέω(プロソーポレームプテオー)は「顔」と「取る」から成る合成語であり、外面で人を判断することから、「分け隔てをする」や「えこひいきする」という意味で使われています。そして、その具体例が「金の指輪をはめた立派な身なりの人」を上座に案内し、「汚らしい服装の貧しい人」には席すら用意しないという対応です。ヤコブ書はこのような分け隔てを隣人愛にもとる行為だと批判します。教会とは異なり、大学は研究や成績による優劣から逃れることのできない場であるのかもしれませんが、そのことによって個々の存在にまで優劣をつけるようなことが教育現場で行われていいものではありません。個々の存在を大切にする分け隔てのない本学でありたいとの思いを強く持ちます。

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