2020年10月6日大学礼拝(リモート礼拝)のお知らせ

Date:2020.10.05

2020年度後学期第2回

大学礼拝(リモート礼拝)

聖書の言葉とメッセージの動画の配信

 

聖書とメッセージの動画の視聴にさいしては、以下のリンク(Google Drive)をクリックしてください。

https://drive.google.com/file/d/1pWWHSqxgSDZ_8BLpDCIgLHOOxd4zfwzQ/view?usp=sharing

 

聖書 ヤコブの手紙1章9−11節

奨励 「価値観の転倒」小林昭博(宗教主任)

 

【本日の聖書】ヤコブの手紙1章9-11節

9貧しい兄弟は、自分が高められることを誇りに思いなさい。10また、富んでいる者は、自分が低くされることを誇りに思いなさい。富んでいる者は草花のように滅び去るからです。11日が昇り熱風が吹きつけると、草は枯れ、花は散り、その美しさは失せてしまいます。同じように、富んでいる者も、人生の半ばで消えうせるのです。

 

【本日の奨励】「価値観の転倒」

ヤコブ書を通して読むと分かるのですが、ヤコブ書の著者は貧富の差に対する批判をこの手紙で強烈に打ち出しています。特に、社会に厳然と存在する貧富の差がそのまま教会に入り込み、教会が貧富の差によって人を分け隔てすることのないように勧告しています。この問題については、ヤコブ書は2章で全面展開をしていますので、詳しくは2章を一緒にお読みするときにお話ししますが、本日の聖書テクストであるヤコブ1:9−11はこの手紙で繰り返し指摘されている富める者に対する警告を先取りして読者に伝えています。9節は新共同訳聖書の翻訳では「貧しい者」こそが尊ばれることを伝えているかのように受け取られてしまいますが、ここで使われているのは――2章で使われている「貧しい者」(πτωχόςプトーコス)ではなく――実際には「低い者」(ταπεινὸςタペイノス)という表現であり、自らを低くする遜った敬虔な者こそが高くされることを伝えています。10−11節は「富める者」(πλούσιοςプルーシオス)に対する警句ですが、ここでは金持ちを単に批判するというよりも、9節との兼ね合いから言っても、富める者の傲慢さを批判し、富める者に自らを低くする遜った敬虔な者になるように勧めています。ここには「偉くなる」ことを「成功」と見なすローマ世界の価値観に対して、遜った敬虔な生き方をすることに価値を置く初期キリスト教の逆説的な「価値観の転倒」が存在しています。
このような聖書の言葉に促されて本学の現在までの歩みを振り返るとき、偉くなることを成功とする価値観ではなく、創立者の黒澤酉蔵が唱え、本学が実践してきたように、自らを低くする遜った敬虔な者となり、酪農讃歌が声高らかに歌うように、この社会で窮乏の底に沈み、躓き、倒れる人に寄り添う生き方を求める価値観を大切にし続けたいと実感します。

 

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